性格診断で「抽象的な哲学的問題についてじっくり考えるのは時間の無駄だと思う」って質問が出てきた…。そもそも「抽象的な哲学的問題」ってどういう意味?
「抽象的な哲学的問題」という言葉を、性格診断の設問やレポート課題、会話の中でふと目にして、意味がはっきりしないまま調べている方は多いはずです。
ざっくり言うと、抽象的な哲学的問題とは「答えが1つに決まらず、目に見える形で確かめられない問い」のことです。「人は何のために生きるのか」「自分が見ている赤は他人の赤と同じか」といった問いが当てはまります。
この記事では、言葉の意味を「抽象的」と「哲学的」に分けてかみ砕いたうえで、身近な具体例・有名な思考実験・性格診断(MBTI/16タイプ)で問われる理由まで、まとめて解説します。「考えるのは時間の無駄なのか」という疑問にも触れていきます。
抽象的な哲学的問題とは?意味をわかりやすく解説
抽象的な哲学的問題とは、正解が1つに定まらず、頭の中でしか確かめられない、物事の根っこを問う問いを指します。まずは「抽象的」と「哲学的」の2語に分けて意味を整理しましょう。
「抽象的」は目に見える形に置き換えにくいこと
「抽象的(ちゅうしょうてき)」とは、具体的なモノや姿で示しにくく、頭の中の概念として存在する状態を言います。反対語は「具体的」です。
たとえば「このリンゴ」は手に取れる具体的なものですが、「正義」「幸せ」「時間」は手で触れません。こうした形のない概念を扱うのが「抽象的」ということです。
| 具体的 | 抽象的 |
|---|---|
| 目の前のリンゴ | 「おいしさ」とは何か |
| 財布の中の1万円 | 「お金の価値」とは何か |
| 時計の針が指す3時 | 「時間」とは何か |
「哲学的問題」は答えが1つに定まらない問い
「哲学的問題」とは、物事の本質や根本を問い、はっきりした正解が用意されていない問いのことです。
数学の問題なら答えは1つに決まります。「3+5は?」と聞かれれば8です。でも「人はなぜ生きるのか」には、誰もが納得する唯一の答えがありません。人によって、時代によって、答えが変わります。
この2つを合わせた「抽象的な哲学的問題」は、形のない概念を対象にして、正解のない根本を問う問いとまとめられます。
「正解がないのに考えるの?」と感じるかもしれません。じつは、その答えの出なさこそが哲学のおもしろさでもあるんです。
抽象的な哲学的問題の身近な具体例
抽象的な哲学的問題は、遠い学問の世界だけの話ではありません。日常の中にも、気づかないだけで似た問いがひそんでいます。代表的なテーマを5つ挙げます。
- 存在:「本当の自分」とはどこにいるのか
- 知識:ネットの情報を「正しい」と言い切れるか
- 倫理:席を譲るのは「良いこと」だからか
- 自由意志:今日の夕飯を本当に自分で選んだのか
- 心と体:気分の落ち込みは心の問題か体の問題か
「本当の自分」とはどこにいるのか
職場での自分、家での自分、SNSでの自分。振る舞いは場面ごとに変わります。では、そのどれが「本当の自分」なのでしょうか。
すべてが自分だとも言えるし、どれも一面にすぎないとも言えます。「自分とは何か」という存在をめぐる問いは、抽象的な哲学的問題の代表格です。
その情報を「正しい」と言い切れるのか
ネットで見た情報を、私たちは「知っている」と思いがちです。でも、それが本当に正しいと、どうやって確かめればいいのでしょう。
「知っている」とはどういう状態を指すのか。この知識の確かさをめぐる問いも、答えが簡単には出ません。
その選択は本当に自分の意志なのか
今日の夕飯を「自分で選んだ」と思っていても、体調や広告、育った環境に決めさせられていた可能性があります。
人の行動に本当の意味での自由な意志はあるのか。この「自由意志」の問いは、いまも結論の出ていない哲学的問題です。
存在・知識・倫理・自由意志・心身。こうしたテーマは日常の場面に姿を変えて現れます。難しく身構えなくても、誰もが一度は考えたことのある問いばかりでしょう。
有名な抽象的な哲学的問題(思考実験)5選
抽象的な哲学的問題には、多くの人が議論してきた「思考実験」という有名なかたちがあります。思考実験とは、頭の中で状況を想像して考えを深める方法です。とくに知られる5つを紹介します。
トロッコ問題
哲学者フットやトムソンが論じたことで知られる問いです。暴走するトロッコの先に5人がいて、レバーを引けば別の線路に切り替えられます。ただし切り替えた先には1人がいる。あなたはレバーを引いて、1人を犠牲に5人を救うべきかを問います。
「多くを救うほうが正しい」と考える人もいれば、「自分の手で1人を犠牲にするのは違う」と感じる人もいます。正解のない倫理の難問として、いまも語り継がれています。
テセウスの船
古代ギリシャの著述家プルタルコスが書き残した問いです。1隻の船の古くなった部品を、少しずつ新しいものに交換していきます。やがてすべての部品が入れ替わったとき、その船は元の船と同じと言えるのかを問います。
「同じ船」と呼べる根拠はどこにあるのか。人の体の細胞が入れ替わっても同じ人でいられるのはなぜか。同じものと言い続けられる根拠(同一性)をめぐる問いにつながります。
水槽の脳
哲学者パトナムが論じた問いです。もし自分の脳が水槽に浮かべられ、コンピューターにつながれて「現実そっくりの体験」を送り込まれていたら。いま見ている世界が本物だと、どうやって証明できるのかを問います。
映画『マトリックス』に近い設定と言えば、イメージしやすいかもしれません。「この世界は本物か」という知識の確かさを揺さぶる思考実験です。
哲学的ゾンビ
哲学者チャーマーズが取り上げた問いです。見た目も行動も普通の人間とまったく同じなのに、内側にはいっさい「心」や「意識」がない存在を想像します。もしそんな存在がありうるなら、心とは何なのかという問いが生まれます。
目の前の相手に本当に意識があるかは、外からは確かめられません。「意識とは何か」という心の謎に迫る思考実験です。
中国語の部屋
哲学者サールが提示した問いです。中国語をまったく理解しない人が、マニュアルどおりに記号を並べて完璧な中国語の返事を作れたとします。このとき、その人は中国語を「理解している」と言えるのかを問います。
正しく受け答えできることと、意味を理解していることは同じではないのかもしれません。AIが言葉を扱う時代に、あらためて注目されている問いでもあります。
どれも答えは出ていません。でも「自分ならどう考えるか」を巡らせるだけで、頭がぐっと刺激されますよね。
「抽象的な哲学的問題」はMBTI・16タイプ診断の設問?
このキーワードを調べている方の多くは、性格診断「16タイプ性格診断(16Personalities)」の設問でこの言葉に出会っています。「抽象的な哲学的問題についてじっくり考えるのは時間の無駄だと思う」という質問がそれです。
この診断は俗に「MBTI」と呼ばれますが、正式なMBTIとは別系統の診断です。結果の4文字コードが似ているだけで、成り立ちは異なります。ここでは、多くの人が受けている16タイプ性格診断(16Personalities)の設問として説明します。
なぜ性格診断でこの質問が出るのか
この質問は、あなたが「直観型(N=ひらめきや意味を重んじる)」か「観察型(S=目の前の事実を重んじる)」かを見分けるためのものです。16タイプ性格診断では、物事の捉え方をこの2タイプに分けています。
- 直観型(N)
-
可能性や意味、「これは何を表すのか」といった抽象的な広がりに関心を向けるタイプ。答えのない問いを考えること自体を楽しむ傾向があります
- 観察型(S)
-
目の前の事実や現実、具体的で役に立つことを重視するタイプ。結論の出ない問いに時間を割くより、手元の物事に集中したいと考えがちです
つまりこの設問は、あなたが「抽象的な思考」と「現実的な思考」のどちらに寄っているかを測っているわけです。
「時間の無駄だと思う」に近いとどちらのタイプ?
おおまかな目安は次のとおりです。診断はほかの多くの設問と合わせて判定されるため、この1問だけでタイプが決まるわけではありません。
| 回答 | 寄りやすいタイプ |
|---|---|
| 「時間の無駄だと思う」に同意 | 観察型(S)寄り |
| 「時間の無駄とは思わない」に同意 | 直観型(N)寄り |
大切なのは、どちらが優れているという話ではない点です。現実を的確に捉える力も、抽象的に発想する力も、どちらも強みになります。
この質問にはどう答えればいい?
答えに「正解」はありません。自分の素直な感覚で答えるのが、いちばん正確な結果につながります。
「なりたい自分」や「良さそうに見える答え」を選ぶと、実際の自分とずれた診断結果になりやすいです。哲学的な問いにワクワクするか、正直めんどうに感じるか。今の自分の感じ方のまま答えて問題ありません。
哲学的なことを好む人はどのタイプが多い?
抽象的な問いを好む傾向が強いのは、タイプ名に「N(直観型)」を含む人たちとされています。とくに論理や分析を重んじる「分析家グループ」(INTJ・INTP・ENTJ・ENTPなど、NとTを組み合わせたタイプ)は、こうした問いを楽しむ傾向があると言われます。
ただし、これはあくまで全体的な傾向です。同じタイプでも興味の向く先は人それぞれで、「このタイプだから必ず哲学好き」と決めつけられるものではありません。
抽象的な哲学的問題を考えるのは時間の無駄?
結論から言うと、すぐに役立つ答えは出ないものの、無駄とは言い切れません。答えの出ない問いと向き合う経験には、いくつかの効用があります。
- 当たり前を疑い、物事を深く考える力が育つ
- 自分と違う考え方を受け止めやすくなる
- 「自分はどう生きたいか」を見つめ直せる
哲学的な問いに絶対の正解はありません。だからこそ、自分なりの答えを探す過程そのものに価値があります。物事の見え方が変わったり、他人の意見を前より落ち着いて聞けるようになったりします。
一方で、目の前の仕事や暮らしを大事にしたい人が「無駄だ」と感じるのも、まっとうな感覚です。どちらの考え方も間違いではありません。四六時中こうした問いにとらわれる必要はなく、ふと立ち止まったときに考えてみる、くらいの距離感で十分でしょう。
答えを出すことより、「考えてみること」自体を軽く楽しむ。そのくらいの気持ちで向き合うと、哲学はぐっと身近になります。
抽象的な哲学的問題に関するよくある質問
「抽象的な」の読み方は?
「ちゅうしょうてきな」と読みます。「抽象的な哲学的問題」全体では「ちゅうしょうてきなてつがくてきもんだい」です。
抽象的と具体的の違いは何ですか?
具体的は、目に見えて手で触れられ、はっきりイメージできる状態です。「このコーヒー」がその例です。抽象的は、形がなく頭の中の概念として存在する状態で、「おいしさとは何か」がその例にあたります。同じ物事でも、実物として見るか、意味を問うかで具体と抽象に分かれます。
有名な哲学の問題にはどんなものがありますか?
トロッコ問題、テセウスの船、水槽の脳、哲学的ゾンビ、中国語の部屋などが広く知られています。どれも答えが1つに定まらない問いで、倫理・存在・意識・知識といったテーマを扱います。
MBTI・16タイプ診断に「やばいタイプ」はありますか?
優劣や「やばいタイプ」という区別はありません。16タイプはあくまで物事の捉え方や関わり方の傾向を示すもので、どのタイプにも強みと弱みの両方があります。診断結果は自分を知る手がかりとして、気軽に受け止めるのがおすすめです。
まとめ:抽象的な哲学的問題は「答えのなさ」を楽しむ問い
抽象的な哲学的問題とは、形のない概念を対象にして、正解が1つに定まらない根本を問う問いのことです。「本当の自分とは」「この世界は本物か」といった、誰もが一度は考える問いが当てはまります。
性格診断でこの言葉に出会った方は、自分が抽象的な思考と現実的な思考のどちらに寄っているかを測る質問だと考えれば大丈夫です。正解はないので、素直な感覚で答えてください。
すぐに役立つ答えは出なくても、こうした問いと向き合う時間には、物事を深く考え、多様な見方を受け止める力を育てる価値があります。肩の力を抜いて、たまに立ち止まって考えてみてください。





